企画趣旨

「一筆献納」は、毎年有料のテーマ制文芸アンソロジーをオンライン・オフラインで発行し、印刷費・委託手数料を除く収益全額を「公益財団法人日本財団 災害復興支援特別基金」へ寄付する企画です。
これは、起きてしまった災害に対する義援金ではなく、この先に起きる災害に対する復興支援のための基金です。
毎年のように天災は起こり、どこかしらで被害を受け、素人の手すさびであっても創作活動は脆い平穏の上にかろうじて成り立っているものだと痛感させられています。
創作できる環境への感謝を「いつか起こるかもしれない災害に備えるチカラ」にして、ささやかでも復興を支える一端とできないだろうかとこの企画を立ち上げました。
また、企画の継続により、昔ながらの同人結社ではない「現在の文芸同人活動」の認知、同人誌への偏見払拭の一助となることも願っております。

主催:虚影庵 お問い合わせ先


お知らせ

2024/09/16:寄付状況を更新しました。

2024/09/01:2025年版『Masquerade』の原稿募集開始いたしました。

一筆献納5年目のアンソロジー『Masquerade』の原稿を、2024年9月1日~2025年1月12日 23:59:59まで募集いたします。
お題に合わせ、謎めいて落ち着いた雰囲気の表紙をご用意いたしました。
今回に限り、能登半島地震で被害を受けた石川県珠洲市のスズトウシャドウ印刷さまにオフセット印刷でお願いする予定です。そのため、例年より頒価が上がることが予想されますがご了承ください。

以下の募集概要をご確認のうえ、末尾にリンクを貼った原稿送付メールフォームより原稿をお送り下さい。
このメールフォーム以外から送付された原稿は掲載いたしません。

スケジュール

    ・2024/09/01~2025/01/12 23:59:59(もしくは寄稿総ページ数が100ページを超えた時点)原稿募集
    ・2025/02/上旬冊子版頒布開始・電子版公開予定

頒布方法

・電子版:note有料マガジン
・冊子版:イベント直接頒布・架空ストアさま委託
を予定しています。

概要

テーマ:仮面

制限字数:10000字(スペース・改行を含みます)
複数作品投稿は、合計字数が制限時数内に収まれば可とします
(例:3000字の作品・1000字の作品・5000字の作品の合計3作品の寄稿はOK。10000字の作品・1000字の作品の合計2作品の寄稿はNG)

【今回のみの特記事項】
テーマに合わせて「仮面舞踏会」をイメージした冊子としますので、各作品に作者名をクレジットしません
通常は作品冒頭に配置する作者プロフィールは、巻末に作者名五十音順で一括掲載いたします。
こうした趣向のため、ご自身の寄稿作のタイトルを公表されることを控えていただければ幸いです。

寄稿時のご注意

  • 一次創作文章作品(韻文・散文)に限ります。
    ジャンルは問いませんが、幅広い年代の方にオンラインで読まれても不都合のない作品として下さい。過度のエログロ表記を含む場合、寄稿をお断りすることがあります。

  • 御礼は「冊子版PDFデータ」のみとなります。一切利益の出ない企画ですので何卒ご了承下さい。

  • こちらからの事務連絡がございますので、公開開始まで確実に連絡の取れるメールアドレスをご用意下さい。

  • 無断複写・転載に対して対策に万全を期しますが、オンラインで公開する以上リスクを完全に排除できません。あらかじめご了承下さい。

  • ルビ・傍点は、表現の一環として冊子版ではご要望に可能な限り対応いたしますが、電子版で完全に再現できない可能性があります。あらかじめご了承下さい。

  • 寄稿アンソロジーの公開開始から1年後まで、寄稿作をご自身がオンライン・オフラインで公開するのはお控え下さい。
    それ以前に公開されているのが判明した場合、当該作品を電子版から削除し、以降の当企画への寄稿をお断りいたします。


◆寄稿原稿はこちらのメールフォームからお送り下さい→【原稿送付メールフォーム】


更新履歴


寄付状況

おおよそ6ヶ月ごとに、アンソロジー販売実績ならびに寄付額をこちらに掲示いたします。

◆2024年08月31日に『ともしびかかげて』(能登半島地震災害義援金)の第1回の寄付を送金しました。明細と送金内容は以下の通りです。



[送金履歴]
・2024年03月31日:明細送金内容
・2023年05月13日:明細送金内容
・2022年12月25日:明細送金内容
・2022年05月29日:明細送金内容
・2021年12月29日:明細送金内容
・2021年07月17日:明細送金内容

入手方法

◆電子版
【note】にて有料マガジン(150円)として公開しています。
手数料を引いた全額が寄付となります。

◆冊子版
◇オンライン通販
【架空ストア】さまにて委託いただいております。
委託手数料のぶんイベント頒布より割高となり、別途送料が加算されますのでご了承下さい。
◇オフライン頒布
情報が確定しだい、随時お知らせいたします。


発行誌

各誌の「試し読み動画(YouTube)」「冊子版(架空ストア)」「電子版(note)」のボタンをクリックすると、YouTube・架空ストア・noteへ移動できます。

壁の向こうには 一筆献納2023 【詳細】

試し読み動画(YouTube) 電子版(note) 150円 ※冊子版完売

2023年版のテーマは「(物理的・心理的な)壁の向こう側」。
謎めいた雰囲気の表紙にシリアスな作品が揃いました。

[掲載作]
・島田詩子「休日の過ごし方」
・皐月うしこ「マンションの住民たち」
・コドウマサコ「交差店」
・なな「課題「壁のある島」」
・野間みつね「六方ふさがりのその先に」

colorful! 一筆献納2022 【詳細】

試し読み動画(YouTube) 電子版(note) 150円 ※冊子版完売

2022年版のテーマは「虹を構成する7色(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)のうちの1色以上を、作品のモチーフに使用して下さい」。
カラフルな表紙に似つかわしい楽しい話が多めになりました。

[掲載作]
・コドウマサコ「紫姫と泉の蛙」
・野間みつね「色彩の子らビフラストの不思議眼鏡」
・皐月うしこ「明日、誰かのオトシモノ」
・島田詩子「暗がりに泳ぐ」
・藤木一帆「ゲーミングバトラー・ルキ」

はれる也 一筆献納2021 【詳細】

電子版(note) 150円 ※冊子版完売

2021年版のテーマは「はれる」。いろいろな「はれる」が集まった一冊を『はれる也』と名付けました。

[掲載作]
・藤木一帆「胡蝶の夢」
・匹津なのり「メル友、斉藤さんへ」
・コドウマサコ「無言ノオト」
・島田詩子「馴染みの店」
・野間みつね「小さな意趣返し」

藤木一帆「胡蝶の夢」

「長崎に墓参りに行こう」
 お昼時。ここは最近話題になっているカフェ。インスタ映えするメニューが話題だけど、美味しさも評判のその場所で、目の前の親友は私に唐突にそう言い放った。
「……九州に親戚なんていたの?」
「いいえ、知っての通りで生まれも育ちも東京だ」
 えへん、と何故か胸をはってみせる彼女に、私はただただ頭を抱えた。
 彼女の名前は鈴木胡蝶。これで「あげは」と読む。幼馴染の大親友で、大学を出たあともこうして一緒に会ってたまに仕事の話をしたりする。
 ただ、ちょっとだいぶ、様子がおかしい。
 毎度突拍子もないことを突然言い出しては、私を混乱させるのだけど、本人には悪気など一切なく、しかも清々しいほどに自分勝手だ。
 今までの人生、彼女に振り回されなかった日はないと言っても過言ではない。付き合っている私も私だが、大体面白いことが起こるのでそこは割愛しておく。
匹津なのり「メル友、斉藤さんへ」

 どうも。メールありがとうございました。ネコと申します。ふざけてるわけでなく実際名前が「根子」っていうんです。えーと。変な書き出しすみません。何から書けばいいのかわからないんですが。SNSとかは昔いろいろやってて、そういうのは嫌いじゃないんだけど、文字で一対一の長いやりとりとか慣れてなくてですね、でも一言で返事済ませるのも悪いし、遠慮なくお返事させていただきます。
 って、正直きんちょーしてます。
 まず、いやこれ、気を悪くしたら悪いんだけど、昨日の人ですよね? 青っぽい服の、髪の長い、斉藤さんって女の子としゃべったはずなんだけど、フィーリングロシア部入部志望の新入生の方ですよね、あんなメールもらって、というか、あなたのような人が何で?
コドウマサコ「無言ノオト」

 湿り気のあるささやかな軋み音が新しい客の訪れを告げた。現れた客はくたびれたスーツに身を包み、雨に濡れた頭をかきながら窓際の空席にストンと収まる。
 店員からの挨拶はない。店の奥から姿を現した店員は足音もなく進み出て、メニュー表を無言で開いた。客の方も慣れたもので、迷うそぶりもなく指し示して注文を終える。
 店員は無言のままメニュー表に指を滑らせて注文を確認し、厨房へと引っ込んでいった。
 店の趣向で、ここでは客にも店員にも沈黙が課されている。
 入り口をはじめ、各席にも『私語はお控えください』との案内はあるが、ごく控えめな表記でしかない。文字で示す以上に効力を持つのは先客のありようで、誰一人として声を、物音を立てない店の中でわざわざ騒ぎ立てようなどという者に遭遇したことはほとんどなかった。
 表通りからずいぶんと奥へ引っ込んだ店だから、一見の客が訪れること自体、めったにない。人づてに教わった店を訪れる客はみな、静寂を求めてやってくる。
島田詩子「馴染みの店」

 いくら昼休みでも、オフィス街には似つかわしくない陽気な音楽がだんだん近づいてくる。
 週に一度の名物なので、このビルの勤務者は驚きもせずに急ぎ足で車寄せに集まる。
 他の日にはランチを売るキッチンカーが停まる位置に、気持ちよく晴れた空から虹が下りていた。音楽はその虹の上から聞こえてくる。
 虹の根元から少し離れたところに、あっという間に行列が出来る。これもいつものことだ。
 音楽はだんたんと近づいてくる。それと共に、その源も見えてくる。
 虹をゆっくりと降りてくるのはカタツムリだった。音楽に合わせて楽しそうに頭を振りながらのそのそと進んでくる。その背中には、殻ではなくキッチンカーと同じくらいの大きさの建物が乗っている。
 カタツムリが虹から地面に下りると、背中の建物のシャッターが上がる。カウンターの上に弁当が積み上がった、全体が木目で統一された小さな店舗があらわれた。店の前から地表にかけて小さな虹がかかる。カタツムリの身体を踏んづけないための、スロープの通路だ。
野間みつね「小さな意趣返し」

「古代の奇病じゃないか、って噂になってるの」
 耳だけがキトゥン族の“猫耳”になっている小柄な女は、私が応接テーブルの上に置いた紅茶をひと口啜った後で、仔細ありげに声を潜め、愛らしい表情を曇らせた。

 それは、ケルリ王国の都ニフティスに数多あまたある“冒険者の店アドベンチャラーズ・イン”のひとつ“七色クジラ亭”を拠点にしている男女四人の冒険者アドベンチャラーパーティーを見舞った災難から始まった。
 その中堅パーティーには男女ひとりずつの戦士ファイターと男性魔道士ソーサラー、そして財神ハーザの女性神官プリーステスが居たのだが、男ふたりの方が、古代魔道王国時代の遺跡探索から戻ってきた翌日、腹部の腫れに襲われたのである。
 暴飲暴食したというわけでもないし、出る物が出てこなくなったというわけでもない。勿論、怪我をしたわけでもない。普通に過ごす分には痛みも痒みもない。ただ、とにかく、広範囲に亙って腫れたとしか言いようのない色と膨れ方だったのだ。そして、彼らの腹部の“腫れ”は、翌日には、膨満と言って差し支えないほどの状態になった。

更新履歴

2024/09/16:寄付状況を更新しました。
2024/09/01:2025年版『Masquerade』の原稿募集開始いたしました。
2024/01/09:2024年版『おとがたり』の原稿募集を終了しました。
2023/09/01:2024年版『おとがたり』の原稿募集開始いたしました。
2023/09/01:サイトを改装、レスポンシブ対応いたしました。
2023/05/14:寄付状況を更新しました。
2023/01/18:2023年版『壁の向こうには』の詳細を公開しました。
2022/12/25:寄付状況を更新しました。
2022/08/01:2023年版『壁の向こうには』原稿募集開始しました。
2022/05/29:寄付状況・オフライン頒布情報を更新しました。
2022/04/17:2021年版『はれる也』冊子版完売しました。
2022/02/06:2022年版『colorful!』の詳細を公開しました。
2022/01/11:2022年版『colorful!』原稿を締め切りました。
2021/12/30:寄付状況・オフライン頒布情報を更新しました。
2021/11/26:2022年版『colorful!』発行日が決定しました。
2021/08/01:2022年版『colorful!』原稿募集開始しました。
2021/07/22:2021年版『はれる也』冊子版 オフライン頒布情報を追加しました。
2021/07/18:2022年版原稿募集要項を掲載しました。
2021/07/17:寄付状況・2021年版『はれる也』冊子版 オフライン頒布情報を更新しました。
2021/05/26:2021年版『はれる也』冊子版 オフライン頒布情報を追加しました。
2021/04/18:2021年版『はれる也』冊子版情報・試し読みを追加しました。
2021/03/09:2021年版『はれる也』の詳細を公開しました。
2018/08/30:2018年版原稿の〆切を、8/31から9/2に変更しました。(→発行を2021年に延期)
2018/04/10:サイト開設。2018年版原稿募集開始しました。